関西の正月の食べ物
〜 黒門(大阪)、錦(京都)、神戸、魚の棚(明石)〜
20年12月30日、 神戸や大阪の「黒門市場」、京都の「錦市場」を見て回った。
「よい年コイテ(年寄りになって)、ホドホドニセイ」と 自分自身を叱りながら・・・。
米国発の急激な大不況 〜「関西の食」にどんな影響 〜 この眼で確かめようという野次馬根性・・・。 いや、東京での、かつての記者魂???・・・。
まず、前日に、神戸のポートピアホテルに 久しぶりに泊まって作戦開始。
ビックリしたのは、 中国や韓国などの東南アジア系の観光客が、 米国発の世界大不況で急激な円高のため、 2/3も減っていたこと。
それでも朝食の30階のバイキングでは、 中国系の方が8割も占めていた。 12月30日の年末のためか、不況のせいか、 日本人の観光客は、ほとんど来ていなかったようだ。 いつもは満席となって、20分ほど待たされるのに、 待ち時間ゼロ。 席も50%ほど空いていた。
神戸の知人、2〜3人に「神戸一の市場は」と尋ねた。 大昔は「東の水道筋」「西の新開地」。 神戸の大震災の後は、商店街がアチコチに分散していた。
インド人など金持ちの外国人が住んでいる北野や、 住吉、灘、芦屋、西宮などの金持ち層は、 どこの市場で買い物を・・・。 と思ったのは、庶民の考え・・・。
豪邸への、御用聞き商人がいるんだろう。
タクシーの運転手から聞いた話。 「関西一の高級住宅地の六麓荘(ろくろくそう)の旦那衆は、 道路に車を停めて玄関から歩いて、数分もかかる自宅の入口まで、 ころばないように手を持って案内しても、 チップを一銭もいただけませんよ。」 「そりゃ、お金にシブチン。」 そのくせ自動車の中で 「安いマンションが売りに出てたので買ったよ」 「一室いくらですか」 「いいや、マンション1棟を。安かったので。」・・・。
大金持ちは、 質素な食事が日常的なのかもしれない・・・??!
大阪の地下鉄の日本橋駅で地上に、 恵美須町のほうへ少し歩いた左側一体が「黒門市場」。 ミナミの盛り場の飲食店用の魚介類を中心に、 野菜、果物などすべての食べ物を扱っている。 大きい通りが4つにもまたがっている大きな市場。 早朝と夕方の卸の時間は板前などの姿が多いが、 主婦たちで賑わっている。 新鮮さが売り物の市場。
この市場も、中国人などがたくさんやってきていた。 ところが、いまは、 ほんどアジア系の人たちをみかけなくなったという。
12月30日の昼ごろは、 6メートル幅の広い道路が買い物客でいっぱい。 さすが、「くいだおれの大阪」。 かきわけて通るのが、やっとだった。
「トラフグ」や「松葉ガニ」「タラバガニ」が やたらに目に付いた。また大衆魚や惣菜、野菜など安いものを売る 小型のスーパーのような店も、3店もできていた。 昔の老舗(しにせ)のあとに。 イカ足や赤貝のヒモだけを一皿いくらで売る庶民的な店も。
高級鮮魚店は意外に少なかった。 間口の狭い、古びた店で「鯛」を見つけた。 小さい鯛で1匹8,000円。 大きな鯛だと、なんと2万4,000円。 もちろん天然の極上もの。
別の店で見つけた鯛は1匹3,000〜6,000円。 もちろん養殖もの。 「ブリ」を売っている店も少なかった。
この黒門市場では「鯛」や「ブリ」より 「トラフグ」や「カニ」の時代に。
広い通りの脇道に、長い長い行列を見つけた。 「なんだろう」と行列の先頭の店を覗き込む。 小さい間口のちっぽけな漬物やさん。 小さい袋毎に、5種類の漬物を売っていた。 店の名前は「京丹波」。 京都の錦にある「京丹波」の出店? 大阪でも、正月に京漬物を味わう人が増えている・・・。
20年ほど前に、同級生のT君のご馳走になった 高級寿司店を探し回ったが、とうとうみつからなかった。 黒門市場も、浮き沈みが激しいらしい。
地下鉄日本橋から阪急淡路駅で乗り換え、 京都河原町へ。 そして新京極から「錦市場」へ。
「京の台所」として平安時代から栄えている 京都No.1の市場。
昔から水が豊富に出るので、 生ものを冷やすのに適していた。
京都の四条通りから1本北の通りにあり、 タテの通りの寺町通りから高倉通りまでの 東西400メートルに130軒の商店が並んでいる。
京都では「ボーダラ」「黒豆」「勝ち栗」 「鶏肉」「数の子」「ゴマメ」「叩きゴボウ」 「カツオブシ」のほか「ブリ」や「エビ」が人気。
大阪でたくさん並んでいた「トラフグ」や「カニ」は、 ほとんど目に付かなかった。
道幅は大阪の半分の3メートルしかない。
東からやってきた客と、西からやってきた客とが、 丁度真中ほどでガチンコ。 押すな、押すなの大混雑。 わずか5メートル行くのに5分もかかった。
この大混雑では、買いたいものも買えない。 「売れ残り品を、この際とばかり 売りさばく店もあるので、気つけや」との声も。
「着だおれの京」でも、正月だけは、 おいしいものを食べたい人が多い。
錦での行列は「田中鶏卵店」。 富小路通りの南側にズラリと並ばせて、 店の人が少人数ずつ店まで案内していた。 「ダシマキ」と「鶏卵」がお目当て。
京都は安くておいしい鶏肉の料理が多いところだが、 最近は 三嶋亭や森田屋の和牛の肉が人気を集めている、という。
新京極通りから蛸薬師通りを経て河原町通りへ出たが、 この細い道の左側(北側)に2つの行列があった。
1つは「さんじゃ巻のアイスクリーム」 10代〜20代の若い男女の行列。 覗き込んでみると具ガラ状の皮の中に アイスクリームを入れているが、この中に いろんな菓子や果物を細く刻み込んだ焼きたてのクレープ。 1個300円。 これをかじりながら歩いていた。
もう一つは「ヤキイモ」。 ここは老若男女の行列。 小さい小さい店だが、鉄の大砲のようなオカマで サツマイモを焼いていた。 サツマイモの焼きたてをかじるのがおいしいようだ。 すぐに売り切れ、次は3時30分からたと。 100グラム100円とのこと。 昭和20年の敗戦前後、よくサツマイモを丸焼きにして フーフー言いながら食べていたのを思い出した。
京都のおせち
お雑煮 「昆布だし」に「白みそのお汁」に 「丸餅」、「金時ニンジン」と「大根」。 野菜は輪切りに。円満を望んで。 おかず 「えびいもと棒だらの炊いたん」。 「千切りにした柚子」の黄色をまぜる。
京都では、「おとそ(酒)」で新年のあいさつを交わし、 「お雑煮」と 「田作り(ゴマメ)」「数の子」「叩きゴボウ」の三種肴 というのが古くからの慣わし。
「数の子」は子孫が繁栄し、労働力も増やして、 米や野菜、豆などがたくさん収穫できるように。
「田作り(ゴマメ)」は、お米がたくさんできるようにと、 干したイワシを田の肥料にしていたことから田作りと。 昔は、イワシがたくさんとれ、田の肥やしになっていた。 今年もたくさんの収入がありますようにと元旦に祈る食べ物。
「叩きゴボウ」は細く長く、根強く。そして叩いて運を開くため。
「黒豆」は栄養満点で、マメに働くようにと。
「勝ち栗」は食い積みの「勝つ」ように。
「昆布」はよろこぶために。
昔は、正月早々、長男が井戸から一番水を桶にくみ上げ、 この水で料理したお雑煮などを、いただく風習があった。
さらに暦をみて、今年の吉方に向いて 「サンボー」をかかげて今年1年の健康と幸運をお祈り。
サンボーの中のお米、切り昆布、乾しカキ、ギンナン、勝ち栗を 少しずついただき囲炉裏にギンナンやクリを入れて、 焼きあがったものを、フーフー吹きながらご馳走になったもの。
週刊誌のグラビア写真を見ていたら、20歳前後の人気女優は、 「正月のおせち料理よりも、『カレーライス』が食べたい」と。 世の中は大きく変わってきている。
明石・魚の棚商店街 一昨年までは、神戸で時間待ちになると、 JRより海辺を走っているので、海がよくみえる山陽電車で、 淡路島までのきれいな瀬戸内の海を眺めてから、 明石まで行き、魚の棚市場をのぞいたもの。 1,000〜3,000円の姿焼のタイ(養殖)や、アナゴ、 玉子焼(タコ焼)をみやげに。
この魚の棚は淡路島周辺や瀬戸内海の海の幸のほか、 天然のワサビなど山の幸もふんだんに並べている 山陽地方で一番の市場。
ただ、 「天然の明石タコは数が少なくなったので、 外国産のやわらかいタコが7〜8割になった」と、 地元の通はなげいていた。
「タコを水につけて、水増しして売っている店もある」とも。
12月31日のサンケイによると 「全長400メートルの通りに100を超す店舗が並んでいる 魚の棚商店街、道路幅5メートルぐらいを ぎっしり埋め尽くす買い物客の写真をのせていた。 「にらみ鯛」や「数の子」、 地元産の「タコ」や「アナゴ」がよく売れていたと。
それでも、今年は景気の冷え込みの影響か、 客足は例年に比べて今ひとつ。 暗い雰囲気を吹き飛ばそうと、店員らが 「タコがおいしいよ」「タイが安いよ」と 威勢の良いかけ声を張り上げていた、という。
(平成21年1月2日 記)
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